Bill Evansの”音”と”原音”

最近はようやくコロナ禍も峠を乗り越えたかに思えすぐに戻れるかはかわからないけれど早くイベントをやりたいと思う今日この頃です。イベントの出展は大変ですがお客様との思わぬやり取りが音楽やオーディオの本質を考えさせられるきっかけになる事があります。このハプニングはある年のAudiobase でのことでした。ビルエバンスのPortrait in Jazzを流していた時、突然あるお客様から『この演奏は何製のピアノですか?』とツッコミがあり、続けて『この時代ではヤマハの訳がないですから、やはりこれはスタインウェイですよね』『でもこの再生音はスタインウェイの音ではないですね!』と。

何だかマークオーディオにいちゃもんを付けられたような状況です。変な雰囲気が漂います…そっと周りの仲間を見回すと一人の目は虚ろでもう一人は下を向いてしまっています。このままではイベントが台無しになってしまいます…相手はクラシック音楽に精通している方に違いなく強敵です。そこで何も反論せずCDを取り替えます。ベートーヴェンのピアノ協奏曲を引っ張り出してしばらく流します。そしておもむろに『如何でしょうか?』と私、返答は『いや、すばらしい!いい音だ!これこそスタインウェイです。』

本音を言えばその時は『やった』と思っているのですが、逆にミキシングの課題を指摘された感もあり、原音再生の基本からみればそのとおりですから、ビルエバンスの音と原音については考えさせられるハプニングでした。

そして時が過ぎ、昨年エバンス好きの友人(お客様でもあります)Mさんから『ビルエバンス没後40年』と言う雑誌をプレゼントされました。この特集にはこの天才ピアニストをそれぞれの寄稿者の側面から本質を鋭くついた内容であり、改めて冒頭の出来事をどう考えればよいかを教えてもらった感がありましたので一部を紹介させて頂きたいと思います。

”ビルエバンスはその時代にあって異端のジャズピアニストだったのではと思う。エバンス以降その影響を大きく受けて彼の様に演奏するピアニストは沢山いるがそのヴォイシング、節回し音色、独特のタイムフィールは彼以前には聴けなかったものだ。どうしてこんな演奏ができるのであろう。(中略)エバンスと全く同じタッチで演奏したとしても、音を出す、そして切るタイミング。フレーズアクセントの付け方やリズムでとても同じ音には聞こえなくなるエバンスのタッチはクリアで澄んでいて鋭くて彼の音楽そのものがたった一つの音でも表現できるような音をしている。(以降ヴォイシングやビートのタイミング等、的を得た説明を加えていますが略します)”      藤井郷子さん(ジャズピアニスト)

また、

”フランスのピアニスト ”ジャンイヴティボテ”のビルエバンスとの対話”と言うアルバムを聴いた時のことだ。(中略)ビルエバンスの演奏をそのまま採譜して譜面化しそれをあたかもラヴェルやドビュッシーが書き記したピアノ作品の様に演奏した作品だ。(中略)エバンスの肉体とは関係ないところで完璧なテクニックとダイナミクスと繊細さを駆使してフランス人ピアニストが再構築しているにすぎない演奏である。エバンスでもなければジャズでもない二十世紀に即興の音楽として成立したジャズとは最も遠い行為だ。だがその演奏を聴いて初めて僕はエバンスが人類の音楽の歴史に残した仕事の価値を理解したように思った。96年の録音なので音はいいし完璧に調律されたスタインウェイの響きは抜群だ。(中略)ジャズ的なピアノの音に仕上げられていないその録音と整音も異化効果を助長している。(以下略)加藤総夫氏

実はこのCDは私も入手し実際に聴いてみました。が、確かにPortrait in Jazzよりずっと良い録音ですが残念ながら音が鳴っているだけで全くハートに届きません。藤井さんでは無いですが、エバンスとスコットラファロの演奏はワンタッチでそれとわかります。Portrait in Jazzのミキシングエンジニアはその時の感動を、そしてその素晴らしさをCDを聴く人達に是非伝えたいという気持ちがこのミキシングになっていったのではと思えます。原音を調整するにはその演奏に対する理解と節度を心得た調整が必要であろうと思います。(このソースは試聴室にありますから来られた方は試聴できます)

Jpopのミキシングはこてこてに塗りたくったお化粧の様にいじくりまくっています。Markaudioのユニットで再生するとその粗さが悲しいくらいすぐにわかりどうしても止めてしまいます。日本にも歌唱力に溢れた才能達はそれなりにいるのにこうやってスポイルしてしまいます。結局オーディオに携わる我々も含めて音楽を支える人たちが民度を蓄えその点で本当のプロにならないといけないのでしょう。もちろん原音に忠実なことは基本ですが、こう言った見地からはビルエバンスとスコットラファロの録音は”スタインウェイの音”で無くてもよいのかもしれないとおもいます。命と血を削りながら演奏するビルエバンスとスコットラファロの演奏をなめてはいけませんよ!。

昔の関連ブログ http://blog.fidelitatem-sound.jp/wp-admin/post.php?post=29&action=edit

NC5HでジョーパスのGibsonES175を聴く

此処のところ仕事が忙しくて、音楽を聴くのもおっくうになりそうになる様な心理状態でした。ようやく時間が取れる様になったので、反省をしてやはりちゃんと音を聴かなくてはと、雨の日曜日は限定版のNC5HMahogany をじっくり聴いてみる事にしました。

このスピーカーの音色を皆さんに伝えるにはと言う事で、このマホガニーはギターやベース楽器を製造するメーカーから譲ってもらったものですから、まずはギターソロとデュオを引っ張り出してきて弦楽器にフォーカスしたレポートにしてみました。








先ずは加藤崇之さんの最新ソロアルバムpepetanと言うCD、今まで購入したジャズギターの中でもトップレベルの演奏と録音です。そのNC5Hのから音が出たとたんに驚きました。このスピーカー何と言うか、オーディオ的な音がほとんどせず、アコースティックギターの弦の振動、箱の何とも言えない付帯音の自然感が抜群です。加藤さん円熟味が出てきましたね~。過日あるディーラーさんを訪問した時に、私はこのNC5Hを『このスピーカー楽器の音がしますよ!』と表現したのですが、意味が全く伝わりませんでした…。







これだけギターの音がリアルならと次はPabloレコードのジョーパスとN.H.ペデルセンのLive Duoを久しぶりに引っ張り出して試聴です。ノーマングランツの当時の録音は変な化粧が無いので音の本質を聴くことができます。

この頃のJoe Pass は、ギブソンのES175と言うフルアコを使っていますが、
これも聞いた途端に『アレッ。凄い』と仕事の手を止めて真剣に聞き入ってしまいます。こんなに古い録音なのに175の何と言うか骨太の渋い少し歪ませた音が伝わってきます。各トラックごとにどちらのピックアップを主に使っているかも良くわかります。凄いですね。ペデルセンのベースもバッチリです。太く音程も良く解ります。また、この時のジョーパスの演奏はギターの弦とピックが平行になっておらず時に擦る様な音が混ざって聞こえます。今までは気づきませんでした。

やはりオーディオの素材は常に素材(この場合はアフリカンマホガニー)の共振が起こります。その素材の倍音パターンと強弱比がソースの楽器の倍音に近いと楽器のニュアンスを再生し易いのでしょうね、MDFやラワン合板のスピーカーが当然だった時代(今も殆どの製品はこの時代ですが)には絶対に味わえない音です。これは。

マイカコーンCHN50P試聴記

 2カ月程前、2020MOOK表彰式でマークオーディオ賞を受賞された青木氏(以下親しみを込め青木さんと呼ばせて頂きます)に弊社試聴室へご訪問頂き受賞作品を聴きながらのああのこうのオーディオ好きの談議を楽しみました。

実は青木さん理学博士の称号をお持ちで、オーディオ談議と言うよりはスピーカーの位相について資料まで用意されて教えて頂いています。先日はSmith Chartでスピーカーのインピーダンスとアンプの出力インピーダンスの合わせ方など教えて頂いています。

『青木さんところで今日は秘密の試作ユニットがあります。せっかくですから(写真の)作品に付けてみませんか?』と切り出してみましたが、取り付け方が特殊で急には変更できないので、貸出としてご自宅にお持ちいただきました。

それなりのその視聴レポートが届いています。色々な音楽ソースをトライして頂いていて、ユニットの特徴が解り易いのでお願いして公開させて頂きます。是非ご一読ください。

2021年4月11日

         試聴報告

 お貸しいただいている 4cmマイカドライバ・ユニットの試聴をしています。聴きながらのレポートです。

 MarkAudio賞をいただいたエンクロージャー:Traveling Wave 5 (TW5) にマイカユニットを取り付けました。コンテストのレギュレーションユニット:OM-MF4と外径が同一ですから、載せ替えは簡単。OM-MF4がメタリック・グレイなのに対し、Micaは薄ベージュのおとなしい色です。よく見ると、Micaのキラキラがあります。クラシック調で、自分の趣味です。

 音を出します。丁度、FM放送ではトーク番組中でした。人の声がとても自然です。”サ行“が変にシャカシャカすることなく、男声の低音が重たく響くこともありません。まあ、このくらいはMarkAudioなら当たり前、という予想通り。能率はOM-MF4よりは若干高そうです。84-86dBくらいかな。

 次に、音楽を幾つか。クラシックで恐縮。

 先ず、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。五嶋龍のヴァイオリンで聴きます。第1楽章冒頭から弦が綺麗に伸びています。気持ちがいい。独奏ヴァイオリンが入ります。いい音です。とても伸びやかです。音としては、極めて歪みが少ないのでしょう。キーキーすることが全くありません。音が綺麗です。第1楽章後半のカデンツァ。物凄い弱音の高音部分があるんですが、聴いている自分も思わず息を殺してしまうほどの静寂感。実は、この最弱音部は大口径スピーカーが得意とするところですが、4cmユニットがここまでできるとは・・・。この時点でOM-MF4よりMicaが勝っています。 第2楽章は緩徐楽章で弱音です。独奏ヴァイオリンはミュートを付けて演奏します。弦楽器の低音のピチカート、ちゃんと聞こえます。小型スピーカーでは聴き取れないくらいの音になるものが多いのですが、Micaユニットでは、ちゃんと聞こえます。しかもとてもセクシーなんです。ピチカートのセクシーさも大口径スピーカーの専売みたいなものですが、Micaできてます。(OM-MF4もできています。) 第3楽章は華やかなところ。ここではオーケストラがいいですね。各楽器の音もそれぞれ綺麗です。金管が音割れすることも全くなし。曲が終わって深呼吸したくなる満足感です。

 次にバッハのパルティータを聴きます。フィデリティムの視聴室にもあるマリア・ジョアン・ピリスの演奏。ピアノの演奏。この曲は静かな曲で、強打音がありませんが、ピアノのしっとりとした余韻の響きが曲全体で途切れることなく続きます。この響きの優しいこと。最高ですね。ここでも音が綺麗です。OM-MF4よりも高音が伸びている感じです。

 次に、同じくバッハのリコーダソナタを聴きます。リコーダはミカラ・ペトリ。チェンバロはあのキース・ジャレットです。キースの弾くチェンバロ、いいですね。チェンバロの音は高調波がたくさん含まれるのですが、きちんと歪まずに鳴らしています。変にチンチンすることが全くありません。ペトリのリコーダも綺麗。リコーダの音域はユニットの優劣が出にくい音域ですが、ここでは安心して聴けます。何と言ってもリコーダの音でも聴き疲れしません。リコーダの高音って、耳に残ってしまうのですが、Micaではそういう感じがありません。音がとても伸びやかです。

 次はピアノ。鍵盤楽器というより打楽器のピアノの打音には高調波がたくさん含まれるので、ユニットの良し悪しがはっきり出ます。川崎翔子の弾くベートーヴェンのワルトシュタイン・ソナタを聴きます。冒頭の小刻みな連符。ゾクゾクします。低音がよく聴こえます。左手の重い響きの音の厚みがとてもリアルです。もともと川崎さんは左手の音が強靭で、リストなどではとてもドラマチックな音楽を作ります。彼女の音の強さがこのMicaユニットだととてもよくわかります。高音も綺麗です。歪が全くありません。実はこの演奏で使っているピアノは日本に最初にピアノを持ち込んだというクロイツァーのピアノの復刻ピアノです。スタインウェイにはない土臭さがあって趣がある音です。Micaに限らずMark Audioのユニットには*****のような高音のクセがなくて自然な感じがいいです。 ・・・・うん、これ、凄いユニットです!

 では、ということで、ピアノをもう一つ。ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。反田恭平のピアノで。冒頭のゆっくりクレッシェンドする低音。うん、これだ! いい感じです。オーケストラの重めの弦の響きもいいです。いやー。このユニット凄いです。(TW5との相性がいいのかもしれません。) ここまでくると、何か新しいスピーカーの時代の幕開けに自分が立ち会っているような興奮を感じています。  チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番。アレクシス・ワイセンベルクのピアノで。1970年の古い録音です。ワイセンベルクの“ため”が凄い。流石のカラヤンも合わせきれないのですが、微

妙な拍のズレが凄い緊張感を生んでいます。この演奏、オーケストラも加わった強音時にはピアノの音が割れ気味になるのですが、このユニットで聴くと全然違います。某社のユニットだと爆発音のようになってしまう事があるのですが、Micaユニットだと、ピアノの音とオーケストラの音がきちんと聞き分けられます。

 では、声楽はどうか。鮫島有美子の歌う「さとうきび畑」。もともと綺麗な声の歌手ですが、とてもいいです。ビブラート、息づかい、・・・いいですね。声がまろやかです。私はクラシックが好きですが、声楽は殆ど聴きません。ベルカントだかドイツ唱法だかが好きになれません。秋川雅史の「千の風になって」なんて、止めてくれ、と言いたいくらい。でも鮫島由美子の歌はいいですね。ユニット評から脱線しましたが、このユニットは声がとても自然ですね。これもMarkAudioの特長ですね。

 次は長岡鉄男の挙げた優秀録音盤、武満徹「カシオペア」。小澤征爾指揮日本フィル、パーカッションはツトムヤマシタ。パーカッションとオーケストラの曲です。ドラムの音がズンと響かなくちゃ面白くないのですが、Mica頑張っています。流石にこういう曲は大口径に比べる訳にいきませんが、私の6畳の小部屋で聴く分には全く問題ありません。低音もボワボワせず、はっきりした低音、打音です。

 クラシックばかりでは中島さんに伝わらないでしょうから、ジャズを幾つか。

 Claire Martin – Trav’llin’ Light。昨年のコンテストの試聴曲。私にはジャズだと何がどういいかって表現できないのですが、低音がしっかり出ていて、ヴォーカルが綺麗です。

 同じ曲をJacinthaで。彼女の空気のような漂う声がうっとりさせてくれます。トランペット、ベース、ドラム、ピアノ、それぞれがそれぞれの空気を作っている感じがいいです。ユニット評になっていませんね。同じJacinthaのアルバムからMoon River。これもまさに空気のような歌声。語尾のtの音の残り香のようなセクシーさ。いいですね。中間部のピアノの強打音のアタックもしっかり聴かせてくれます。

 HiromiのSpark。冒頭のピアノのさざめくような弱音が綺麗です。途中からドラムが加わって曲調一変、ドラムとピアノの掛け合いでもきちんとそれぞれの音がぶつかりながらも全く崩れていません。

 Bill Evans Trio, Waltz for Debby。ここでも、いいね、ですが、後半のベースのソロ部分では、今まで聞こえなかったような雑音の様な音が入っているのが聞こえます。(特にTake1) このユニット、結構低音まで再生していますよ。低音がたっぷりしています。音の派手さはありません。とても真面目な音です。

 本当に低音が出ているのか? 正弦波形を入れてみると、40Hzを再生しています。びっくり。35Hzも5~10dB近く落ちているように聞こえますが再生できています。ひっくり返っていません。(倍音振動していることもありません。)4cmでこの低音は凄いです。

 最後に John Lewis のバッハ「平均律クラヴィア曲集」を聴きます。全4枚のCDですが、フーガ第8番。(前奏曲とフーカが交互に並ぶこの曲集、前奏曲はJohn Lewisのピアノ独奏による正調演奏、フーガはMJQのJazz演奏です。)ベースの低音が気持ちいいですね。その上をピアノの音が流れていく感じ。BGMに最高。

 もう1曲。最後にオーケストラの大曲。マーラーの交響曲第5番。エリアフ・インバル指揮フランクフルト交響楽団で。冒頭のトランペットの虚無感。第2楽章の嵐のような音のうねり。有名なアダージョ楽章の哀愁。4cmでオーケストラが聴けるなんて。しかもこれだけの表現力。隣に置いているSuper Swanといい勝負です。全体の音のバランスではSuperSwan+Pluvia7HDに軍配が上がりますが、低音の絞まり、高音のキレではTW5+Micaですね。こうなると、デザイン的に悪いSuper Swanを手放してもいいくらいですね。(いやいやSuper Swanは私にとってのリファレンススピーカーなので手放しはしません。)

 すばらしいユニットです。このユニットなら、どんなエンクロージャーでも鳴ってくれそうですね。TW5のようなバックロード(中島さんによるとトランスミッション型ですか?)でなくても、普通のバスレフでもいいでしょうね。インピーダンスによっては 2個使いできそうですね。しかも10倍の値段のユニットと遜色ない音で。

以下省略

青木芳雄

スイッチング電源をぶっ潰せ!Hand wound 定電圧電源PT70EI

最初から脱線しますが、今回は『ベートーヴェンをぶっ飛ばせ』をもじって『スイッチング電源をぶっ潰せ』とタイトルしましたので、まずはこの名曲から、この曲ご存じですか?私の中ではチャックベリーとマウンテンと言うバンドの演奏が最高です。

特にマウンテンと言うロックバンドのレスリー・ウェストと言う巨漢ギタリストのイントロそしてアドリブはもう本当にぶっ飛ばせと言う圧倒的なかっこよさです。ちょっとググってみたらありました。演奏が聴けます。 
http://chunichieizo-tachi.blog.jp/archives/26992144.html

どうですかこの猛烈なドライブ感ロックンロールの超重量級のアドリブです!

そろそろ話を戻して、半年ほど前から販売していますリニアトランス電源の評判が上々です。毎月輸入していますが、販売に追いつきません。以前から訴え続けているように、電源は地味ですが非常に重要です。フィディリティムサウンドの試聴室の常連の皆さまはIT1000WCと言うアイソレーショントランスを購入されています。

こうした電源に対する姿勢と対極にある考え方にはPCスタイルのスイッチング電源があり、それは現代のデジタルオーディオ界を席巻していると言っても良いでしょう。私としては「何とももったいない事をしてるんだろう」と常々感じられる現象です。そこでKennth Wongにお願いして手巻きのEIコアを使用した独立定電圧電源PT70EIを開発しました(ブログでも公開しました)


47研のアクティブアンプ用に開発したのですが最近では様々なDACやアンプにまで使われています。Markaudioファンのお客様からインプレを頂きましたのでご紹介します。

Fidelitatem-sound 中島紀夫 様

お世話になります。ケネスさんの手巻きのEIトランス、先日無事に届きました。小さいものですが重く、美しい造りで高級感がありますね。出力が二系統もあることは知りませんでした。付属のケ-ブルも質が良さそうです。

CDプレーヤーは47研のIZUMIを愛用していますが、気分転換にそのデジタル出力を利用して真空管出力のDACも聴いています。DACの音も好きですが、スイッチング電源のためラジオの音がノイズで汚れることがずっと気になっており、CDの再生にも良くないことが分かっていました

つい最近ステレオ誌に本機のことが載っていたので(相変わらず廉価で)、関心を持ちました。今はスイッチング電源が当たり前ですが、これをアナログに交換したくても価格の壁がありますし、その前に希望の出力値が得られないことがネックになりますね。その点本機は安価で、出力も12ボルトから20数ボルトまで希望に合わせてもらえるので、非常に良いです

肝心の音ですが、とても気に入りました。長年気になっていたノイズから解放され、DAC本来の音にたどり着いた気がします。開放的で抜けの良い状態、必要なところでは適度な粘りも発揮してくれるようです。エイジングが進めばさらに良くなるでしょう。これからが楽しみです。

数ヶ月前に導入したケネスさんの手巻きのアイソレ-ショントランスも好調です。きれいな電源が得られると、精神的にも良いですね。DACの他にも交換可能な箇所がないか探したくなりますね。

皆さん。是非ご購入をと話を締めたいのですが、仕入れが間に合わない状況です。ご理解をお願いします。

Duo5Active 出荷前

先月、あるお客様(以下Mさん)がフィディ社試聴室に音確認にこられ、結局NC11MCとDuo5Activeを購入頂きました。有難うございます😢

そのDuo5の正面からのスナップショットが右です。チェリーの無垢材を使用したバッフルは木目が美しいですね。ボディはラウンドのピアノブラック!この塗装は最高級仕上げです。

 

 

下が後ろの姿です。
右のRCAに接続してActiveにスイッチをセットするとアクティブスピーカーとして使用でき、バインディングポストにスピーカーケーブルを指してPassiveにスイッチを倒すと手持ちのアンプで駆動できます。

ちょっと右の写真で、Alpair5のフレームの右下に注目して下さい!MarkのサインしたAlpair5が手元にあったのでついMさんに話してしまい提供する事になりました。
一週間ほど音出しをして調整しましたが、いや本当に細部のディテールが気持ちが良いですね!ディスクリートモノアンプの良さを実感して欲しいと言うのが私の主張です。

そして横にあるのは一緒に購入頂いた手巻きのトランス電源です。本当にここまで音が変わるかと言う位に立体感、艶、楽器の音色ホールの反射音全部変わります。

この電源は商売としては21000円+ケーブルはコスト的にとても厳しいのですが、皆さんに聞いて欲しいと言う気持ちがあって、値段を抑えています。出来ればセットで聞いて欲しい強く思っています。

Mさん、調子はどうですか? 今はStaying home ですよ(国のStay home だと『家にいろ!』って感じで強い感じですね…)このトランジスター超美人Duo5を聴いて音楽を大いに楽しんで、コロナウイルスをやっつけちゃって下さい。ホームページにMJのレポートを載せましたこちらも見てみて下さい。

おまけ

今回からちょっとおまけで10年前投稿したブログから少しずづ面白いものをリンクしておきます。確認したら挿入した写真が消えてしまうのですね。ですのでそれを直してアップデートしながら皆さんに見て欲しいなと思って始めました。

サムジョーンズの紹介です。ピッコロベースの弦が切れるのではないかと言う位ブラックミュージシャンのタッチが楽しめるCDです
http://blog.fidelitatem-sound.jp/?p=4

10年前のマークと松原さんのリアサスペンションの開発等々の打ち合わせです。このお二人全くコミュニケーション出来ないのですが、何だか内容の濃いミーティングになるのは不思議な技術者の世界です。

http://blog.fidelitatem-sound.jp/?p=4

また暇な時に続きを直しておきます。

良い音vs良い演奏

27日(土)にコイズミさんでイベントを実施するにあたりまた新しいソースを聴き始めています。

こうした純粋さに若干欠ける音源探しは、本来の方法である単純に好きな演奏家とそのメンバーと曲を見たりして探していくと言うふうに演奏の良さそうなソースに重心を置く方法とはかなり違う気がします。

日頃連絡を取り合うMarkaudioのファンの皆さんには様々なアプローチがあります。高品質録音を謳い文句にしているソースと評価をググって探すHさん。今までは概してハート無い演奏が多く結局『聞いて見て下さい』と言われても数回で埋もれて行くソースが6割以上という実績です。

今回送られてきたのがこれ。新谷祥子さんがマリンバを演奏しているのですが中々チェックCDとして良いのでご紹介します。マリンバの音域はかなり倍音が乗って広帯域でしかもかなり基音が低いところにあるので、再生システムの優劣がはっきり出ます。 演奏曲も結構センスが良くチックコリアのスペインをマリンバで演奏するのはしゃれていますね。

レーベルは何と”TAD”ですよ。

 

9月15日(土)Alpair11MS・Alpair7MSの試聴会

沢山の皆様のご希望に対応して来る9月15日(土曜日)午後Alpair11MS、Alpair7MSの試聴会を再度行います。聞き逃した方、もう一度ちゃんと聞きたいと言う方愛聴CDを持って是非お越し下さい。

前回途中で不具合のあった47LabのCDプレーヤー4741 ”Izumi”もCDの受けがずれたのが原因で、木村社長に調整をお願いして復活しています。またAlpair5SS Rectangleモデルがプロトタイプで到着していますので試聴出来ます。これもお楽しみに…

 

【ご連絡】

フィディリティムサウンドのドメインが変更になりました。
ホームページ:www.fidelitatem-sound.jp
ブログ: blog.fidelitatem-sound.jp
メール:info@fidelitatem-sound.jp

 

 

 

やっぱり音を聴いてもらうといけるんだよね

今回のイベントも大盛況で何でこんなにお客様一杯になるんだろうと音元出版の方は驚いていましたが、皆さん来て頂いて本当に有難うございます。お客様の反応も上々でやっぱり試聴の方法をもっと考えないとと改めて思いました。
そのご報告ですが、下の写真がシンガーソングライターの伊東真紀さんです。彼女のファーストアルバム『Voyage』というCDをメインに再生をしたのですが、そのなかでピアノの伴奏で彼女が歌うトラックをNature Collection NC7で再生した後のスナップショットです、彼女はもうびっくり『すごいですねこんな小さなスピーカーなのにダイナミックで繊細でペダルのミュートする音や(ピアノの)弦が震えたりするディテールがメチャクチャリアルですこれってスタジオで聞いた音そのものですね』なんでちょっとお世辞も入っているのでしょうが写真の様に指さして、なんでこんなに小さなスピーカーがあんなリアルな音がするのですか?と質問されているところのスナップです。

結局音楽の再生を最終目標でやっている訳ですから。やっぱりこうした日頃音楽にどっぷり浸かっている方の発言は嬉しいですね。それに女性ですからね!オーディオ界の最も欠落している部分ですから。

 

 

on and on1

 

 

そして途中で気が付いたのですが評論家の村井先生がいらしてました。
色々な情報を仕入れないといけない訳ですから、こういった場所できちんと聞く姿勢は立派と思います。

その翌週、八千代市の弊社秘密基地(試聴室)に来られて、結局NC7のウォールナットが相当気に入られた様です。実際、すでに3件のプロショップのオーナーさんがNC7を個人的に購入されて素晴らしい評価を頂いています。なんかプロに受けるスピーカーなんですよね。

 

とまあイベントは成果が色々あったのですがだた課題も感じました、前述の伊藤さんのトラックの中に何回も重複録音しミキシングでかなり加工したたトラックがあり、それを再生すると我がMarkaudioは私の印象では全然いい音がしません。

『それはしょうがないんですよ。本物のスピーカーはそうなるんですょ』と後日村井先生がサポートして頂きましたが、どうも胸にストンと落ちません。しばらくは心に留めて探ってみます。 と言うのも、最近の日本のJ-pop系のCDは結局マジョリティーが『いじった音』なのです。若い人に聞いてもらいたいのにジャズとかクラシックは凄くいい音なのにこれって音楽界の危機なんじゃないの???本物だからしようがないでは済まされない……と思いながら聞いていました。

47研

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしておまけですが、一緒に参加されていた47研の木村社長、いいですね。いつも細い細いケーブルと共に小さなシャシーで商品を仕上げ、でも太いポリシーがあって、私は普通に太いケーブルの方が音は良いケースが多いと思っていますが、このご自分が信じた道を進む姿勢!お話を聞くのは今回2度目ですが技術者のお手本だと感じます。

あの音がオーディオがもう少しブームになれば評判になり結構安くする事が出来て本当の音をみんなが聴けるんだけどなぁ。なんて思いながら聴いていました!

話をもとに戻して、聴いて頂く機会を増やすにはやっぱり商品貸出システムでも誰かに協力してもらってやろうかな?

 

 

 

 

メグでの試聴会

Sotaの発売に伴いこの半年はかなり過酷な活動でした。月刊ステレオやMJへの広告宣伝のデザイン、パンフレットのデザイン、マークの日本訪問、地方年のプロショップ訪問、翻訳、タイのビジネス支援等々・・・・そうは言っても落ち着いてみればそれなりな充実感です。

少し時間がたちましたがその中でのトピックをできるだけ皆さんにごご紹介したいと思います。

3月末はMarkとSteve(オーナー)が来日してコイズミ無線さん名古屋のサウンドピットさん、岐阜のハンターオーディオさんと訪問しました。
サウンドピットではオーナーからTozziがグッドマンのサウンドにそっくりと何度も激賞頂いて、さらに翌日はサウンドハンターのオーナーから『朝はTozzi Oneで室内音楽を聴きながらコーヒーを飲むのが凄く気持ちがいいんだよ』と。

何と言ってもお二方ともに何十年もオーディオに毎日接してきた方がこれだけ激賞して頂けると言うのは望外で嬉しい限りです。写真はサウンドハンターさんでの試聴会でのシーンですが、ここでは岐阜大学の教授をされている方がMarkと英語で技術論を楽しんでいました。

サウンドハンター

右のシーンは音は聞けませんが実は黒のCestiMBがリーリトナーの「Wes Bound」と言うアルバムから『Four on Six』と言う曲がかかっています。

Lee_Ritenour_Wesbound_1993a_Album

Four on Sixと言うのは元々はWes MontgomeryのThe Incredible Jazz GuitarやImpressionsで有名ですが、リトナーのFour on Sixは現代的で渋くて中々良いのですが、オーディオ装置に癖があるとあまり良い音になりません。そういう意味ではテストトラックにも最適ですし1994年にビルボードで1位になったLPです。演奏が素晴らしいですから是非聞いてみてください。

右がそのCDのジャケットですが右手の親指で2つの弦(オクターブ)を弾きます。この奏法ですとぐっと中低域の音の純度が勝負になりますのでMarkaudioの良さがすごく出ます。

 

そして最後が吉祥寺メグでのセッションです。本当はMarkが一緒に参加予定でしたが、体調が優れず私だけの参加になりました。

「メグはスピーカーが鳴らないんだよね。」「今まで参加した人がどれだけ苦労したか!」こんな脅迫?(言葉)を打ち合わせで聞かされると不安になりますよねぇ。

しかし当日は度胸をきめました。三々五々お客様やメグの会のメンバ-の方々が集い始める頃私はアンプのセッティングなど準備をしながら、Tozzi Two からA-Tisket(ナタリーコール)を流してみました。

その鳴らない場所で5㎝コーンで勝負です。さてどうなるか・・・・
megu1

「お!」「えっ!その小さいスピーカー!」「いいねぇ!」良いぞ良いぞと言うスタートです。

そして、本番開始…
写真の様にメグは紅のアバンギャルドですから私も真紅のCesti MBをメインで勝負です。アンプ今相当気に入っているRotel1580/1582MKⅡ を使って、使う曲はもちろん全部Jazz、手持ちのCDから音質がレベル以上のMiles 、EllaやWesなど大物のTribute曲をえらんで流しました。見て下さいこの写真のお客様。Jazzyな雰囲気になってるでしょう!!!。そしてお客様のがお持ちいただいた山本剛さんのMegu2かの有名なMistyを流してもう最高Cestiが鳴っています、本当に私自身が『良い音だな~』と思いました。

 

最後は皆さんから沢山の拍手を頂きました。有難うございました。

 

MAOP7_v2 試作一号機

沢山の方から問い合わせを頂いておりましたAlpair7MAOPですが近日発売の予定です。

 

Markから新型Alpair7MAOPの試作機の写真が送られて来ました。
Magnetが一体化されてますね。
この写真のグラファイトのシャシーはPlubia のシャシーを使用していますが、今新しいフレームを制作中ですので次回のブログではお伝えできると思います。

 

私の海外でのメインスピーカーはずっとこのAlpair7MAOPです。
こんなリアリティーはめったに手に入らないと思い込んでいます。

300Bシングルで心地よい音を聞いていたのですが、部品アップグレードで香港に送ったタイミングで最近、MCAUDIOさんのデジタルアンプM602に変えて聞いています。これがオーディオの楽しみで全く違った本当に現代的なスピード感のある良いアンプです。

 

 

 

昨日はM602+Alpair7MAOPのセットでビルエバンスの”Exploration” をずっと聞いていたのですが、スコットラファロのウッドの独特の音色、エバンスの本当に微妙なリズムのずれ、ミュートのタイミング。ポールモチアンのスネアのディティール。素晴らしいサウンドです。 300Bの何とも言えない真空管の持つ空気感からこのM602+Alpair7MAOPにすると音の正確さの魅力にとらわれます。

 

 

 

 

 

 

 ビルエバンスが生涯愛し続けた(性的ではないですよ)スコットラファロとの名演のすごさを見直すことになりました。

 

前回のMAOPは48,500円(ペア税込)でしたが、自ら出かけてMarkaudioの工場へ行って仕入れコストなど見直し4万円台前半の価格設定を予定しています。予定では年末年始の日本到着を予定しています。

 

期待していて下さい。