fidelitatem sound のオーディオと音楽ブログ
ジャズとオーディオのニッチな世界

床置きスピーカーdeバッフル効果

みなさんこんにちは、スガノです。

前回の瓶スピーカーの記事はご覧になりましたか?もう作ってしまったという方は、その行動力を少し私に分けていただけると助かります。。

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こちらは以前の試聴会で紹介した、床置きスピーカー(ユニットはAlpair5v3)です。2L弱の小ぶりな箱ながら、厚みのある音に驚いた方もいるのではないしょうか。

さて、「なんで床に置く必要があるの?」という疑問が出ると思いますが、簡単に言うと「中低域の厚みを出すため」です。

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ご存じの通り、スピーカーには指向性があり、高域ほど鋭く前方に強く音波を放射し、低域ほど前にも後ろにも満遍なく音波を放射します。

スピーカーの指向性は、振動板の直径や形状・バッフル板のサイズなどによって変わるので様々ですが、通常のブックシェルフサイズのスピーカーであれば、(極端にいうと)約1kHzまではスピーカーの前後(4π空間)に音を放射し、それより上では指向性が狭まり前方のみ(2π空間)に音を放射するのが一般的です。

つまり、ユニット単体の周波数特性がフラットだったとしても、それをエンクロージャーに取り付けたとき、1kHz以下の周波数の音圧は高域の音圧に比べて徐々に目減りしていき、100Hz以下では6dB減少します。これを「バッフルステップ」と呼びます。

オルソンの実験として有名な実験結果がありますが、これは上記の指向性の変化による「バッフルステップ」と、バッフルの角や形状による回折波干渉の「エッジディフラクション」の両方の影響をを示しています。

オルソンの実験結果

この「バッフルステップ」と「エッジディフラクション」は混同されて使用されている場合が多いと感じますが、

実は別々の現象です。詳しくは「自作スピーカー エンクロージャー設計法 マスターブック」をご参照ください。

(自作スピーカー マスターブック 公式HPはこちら

Tozzi One バッフルステップ・エッジディフラクションのシミュレーション結果

上記の画像は、Tozzi Oneのバッフル形状による影響を簡易的にシミュレーションしたものです。(VituixCAD2というソフトを使用しています)

あくまでシミュレーションなので推測でしかありませんが、Tozzi Oneの妙にハリがある明るい音質は、この1k~2kHzにかけての音圧の盛り上がりが一因となっているのかもしれませんね。

この結果からも、1kHzから音圧が減少し、100Hz以下の周波数が高域に比べて6dBほど減少しているのが分かると思います。

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ここまで解説した理論は、4π空間(無響室や、壁や床・天井から十分に離れた空間)の場合の理論です。

それが2π空間になると、事態は一変します。

商業施設などにある天井スピーカーを想像するとわかりやすいと思いますが、ユニットが天井や壁に埋め込まれたときに壁は無限大バッフルとして機能します。

2π空間ではスピーカーの前方にしか音波は広がらないので、バッフルステップはおきませんしバッフルの角もないのでエッジディフラクションもなくなります。

つまり中低域の音圧が減少することもないし、周波数特性の乱れも最小にすることができるということです。

繰り返しになりますが、「なんで床に置くの?」という疑問に対しての回答は、「中低域の音圧減少を防ぐため」になります。(天井や床がベターかもしれませんが、設置が難しいという現実的な問題があります)

床に置いた時と床から離した時の特性の比較

上の画像を見ると、2π空間の特性と4π空間の特性が一目瞭然です。床に埋め込んでいる訳ではないので完全な無限大バッフルではありませんが、それでも中低域の音圧の減少が無いことが分かります。

1kHzの音圧を基準にして-6dBとなる周波数を見ると、床置きは45Hz、バッフル効果なしでは65Hzです。低域における20Hzの差は皆さんもよく理解していると思いますが、バッフル効果だけでここまで変わるとは意外ですよね。

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ちょっと話は変わりますが、ユニットを上向きに設置したことでAlpair5v3のモノサスペンションの効果が最大限発揮されているように思われます。

通常、スピーカーユニットは振動系を「エッジ」「ダンパー」の2つで支えています。しかしAlpair5v3は信号への反応を極限まで高めるために、ダンパーを使用しておらず、フロントのゴムエッジだけで振動系を保持しています。

ダンパーのないユニットを横向き(通常の向き)で使用した場合、振動板やボイスコイルの重さで振動系の位置が本来の位置から横にズレてしまい、歪やノイズなどを発生してしまいます。もちろんMarkaudioのユニットはそれが起きないように設計されており、製造の際も誤差が出ないように精度よく組み立てられているため通常の使い方では問題になることはありませんが、重力の影響を完全にゼロにできているわけではありません。

この床置きスピーカーの様にユニットを上向きに取り付けた場合は、重力によって振動系の位置が横にズレることはないので、モノサスペンションによる微細信号の再現性とリニアリティの高さが十二分に発揮されるのです。

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ここまで偉そうに理論を語ってきましたが、肝心の音はどうなんだというと、非常に厚みのある濃密な音がします。

重心が低く、繊細な音と腰の据わった音が部屋全体に広がり、なんだかライブ会場で聴いているような雰囲気が漂います。Markaudioのユニットは全体的にコーンが浅く、特にAlpair5v3は小口径ということもあり高域の指向性が比較的広くなっているので、床置きの無指向性スピーカーにマッチしていると思います。

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さて、このスピーカーの作り方について簡単に説明します。

まず適当な木製ボウルをご用意ください。(私はニトリで1000円くらいのを買いました。上の直径が23cm,底の直径は10cmでした。)

意外と底の板厚は厚い

あとは底に穴を開け、上にボウルの直径に合わせ丸く切った板を貼り、Φ20mmのダクト用穴、内径20mm長さ5cmの塩ビ管を接着したら完成です。

木製のボウルはウレタンなどで仕上げされている場合が多いので、ヤスリで塗装を剥がしてから接着すると良いでしょう。

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長々となってしまいましたが、案ずるより産むが易しです。理論なんて置いておいて、皆さんも是非部屋全体に響く無指向性スピーカーを作ってみてはいかがでしょうか?

次はOM-MF4Micaを複数使用したアレイスピーカーを考えています。上手くいったらまたご紹介させていただきますので、是非ご覧ください。では。


Posted by admin on 7月 30th, 2022 :: Filed under 未分類

ジャックダニエルの瓶スピーカー

みなさんこんにちは、スガノです。

Markaudioファンのみなさんは、いつからスピーカーの自作を始めましたか?

私は中学生の時にオーディオに興味がわきはじめ、その後はスピーカーやイヤホン、ヘッドホンなどを安く買っては分解し、その仕組みや音の変化などを楽しんでいました。

本格的にスピーカー自作を始めたのは大学生になってからで、Markaudioのユニットと出会ったのもその頃でした。

Markaudioユニットで最初に使用したOM-MF5 その純度の高い音に驚いたのを覚えています。

学生サークルや仕事を通してオーディオ関連の方々と交流していると、知識や工作の腕前に圧倒されることが多く、ましてやこのブログを読んでくださっている方に自作のあれこれを語っても響かないかもしれませんが…

とはいっても、イベントなどで紹介したときは意外と新鮮な反応を示してくださるお客様もいたので、今回は風変わりな自作(試作?)スピーカーを紹介したいと思います。

ジャックダニエルの空き瓶を使用した瓶スピーカー

これは2020年のStereo誌企画「学生対抗スピーカー甲子園」に出場した時の作品のリメイクで、上記の通り3Lのジャックダニエルの空き瓶に穴を開け、OM-MF4を取り付けたものです。

吸音材を一切使わないうえに、ガラスの筐体なんて酷い音がしそうですよね?これが意外と良い音がするんですよ。

ガラスのヤング率は木材の5倍程度ありますし、ジャックダニエルの瓶は厚みが5mm程あるので、どっしりと頑丈な筐体が木材とはまた違った響きを出しているのか、低域に芯があり迫力があります。

注ぎ口がバスレフポートとしてうまく機能しているようです。

疑似無響室測定で測定された周波数特性

このスピーカーは瓶なので、もちろん蓋ができます。キャップを締めることで密閉型にもできます。

上の周波数特性図はバスレフと密閉を比較したものです。

バスレフは60Hzくらまで伸びていますが、750Hzあたりにポートから漏れた中域が干渉し山谷ができています。このサイズとしてはかなり低域が出ており、中高域にかけてもフラットに伸びていてOM-MF4の優秀さが見て取れます。

密閉は200Hzからだら下がりですが、先にみられたような中域の山谷がなくフラットです。バスレフとは異なりスッキリした印象で自然な中低域なので、ボーカルやギター単体ならこちらで聴きたいですね。

今年のオントモムック付録:OM-MF4Micaを使用して作れば、少し低域が落ち着き、バスレフでバッチリのチューニングになるかもしれません。

Markaudio CHN40推奨エンクロージャーの一例

実はこのジャックダニエル瓶スピーカーは、MarkaudioがCHN40の推奨エンクロージャーとして公開している設計とかなり近いものになっています。つまりT/Sパラメーターの観点からも上手くチューニングが取れているということですね。

本来は吸音材を入れるので、バスレフの低域の盛り上がりや中域の山谷は減少し、よりフラットに近づくことでしょう。(私は見た目を優先したので吸音材は入れませんでした)

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この瓶スピーカーの作り方ですが、私はこちらの動画を参考にしました。↓↓

もはや参考というよりはパクリですね(笑)

(決して瓶スピーカーに関して我々がオリジナルだと主張するつもりは全くありません)

瓶がスッポリ入る容器に水を張り、位置がずれないように治具を用いながらガラスホールソーで穴を開けます。

動画では固定用ネジのために鬼目ナットを挿入していますが、私の腕ではガラスを割ってしまいそうだったので、ユニットを直接瓶にボンドで貼り付けました。

ジャックダニエルの空き瓶はメルカリなどで1個1000円程度、ガラス用ホールソー(Φ70mm)はアマゾンなどで2000円程度で購入できます。

他、ドリルや水を張る容器などがあれば自作できますので、みなさんもいかがでしょうか?

ガラスに穴を開けるときは、割らないようにゆっくり、かつ程よく力を入れながら、慎重に行ってください。

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床置きスピーカーも一緒に紹介しようと思っていたのですが、長くなりそうなのでまた次の記事にしたいと思います。

では、また。


Posted by admin on 7月 26th, 2022 :: Filed under 未分類

試聴会@コイズミ無線 NC9kit再販!

みなさんこんにちは、スガノです。

7月9日、コイズミ無線様で試聴イベントを開催してきました。

NC7v2 メイプル&ウォールナット コンビネーションモデル

新作NC7v2をはじめ、NC5HやNC9kitなど盛りだくさんの内容で、超満員の試聴会となりました。

お越しいただいた皆様、ありがとうございました。

商品の説明を行う社長・中島

今回初お披露目となる、OM-MF4Mica 、そしてCHP90Micaです。

Markaudioといえばアルミ・マグネシウム合金のメタルコーンというイメージをお持ちの方が多いと思いますが、

陰ながらペーパーコーンのモデルも人気商品となっています。

そしてペーパーコーンにマイカ(雲母)を混沙した、新たな振動板搭載モデルが登場しました。

OM-MF4Micaは今年のオントモムック2022の付録として、全国の書店などで販売されます。

https://www.koizumi-musen.com/fea/220712_mook/220712_mook.php

CHP90Micaはコイズミ無線様などで予約注文できます。入荷は8月頭予定です。

https://dp00000116.shop-pro.jp/?pid=169263655

キラキラ光るマイカが見えるでしょうか?

マイカが加わったことで、紙素材特有の軽やかな音に、ハリとツヤが出たような

非常に魅力的なサウンドになっています。ケブラー繊維も混沙されており、強度向上に寄与しています。

OM-MF4Micaは、より軽量化され、ギターの弦の擦れやボーカルの切れ味、スネアの立ち上がりの早さなど

応答が素早く、鮮明で繊細な音場の広がりを実感していただけるのではないでしょうか。

CHP90Micaはさらに本格的な音作りで、上記の魅力に加え40Hzまで再生できるポテンシャルをもっています。

13cm口径ですよ?このサイズでは信じられない再生力ですよね。ベースの最低音まで正確な音程で再生できます。

お客様にこのマイカ混沙振動板の魅力を手軽に体験していただけるよう、

弊社ではそれぞれに合ったエンクロージャーをご用意いたします。

縦置き
横置き

弊社では、オントモショップで販売しているLuxmanアンプ専用の、スプルース無垢材ケースを製造しています。

スプルースの木目のやあられ組みの美しさや、きれいな減衰特性によるアンプの制振・音質の改善などが評価され、

非常に売れ行きが好調です。(製造が大変だ…)

スプルースの良さをスピーカーにも生かしたいと考え、上の写真の「あられ組みスピーカー」を試作しました。

スプルースはピアノやギターなど様々な楽器に使われており、滑らかでクセのない音質になる傾向があります。

OM-MF4Micaの立ち上がりの早さにスプルースの柔らかな響きが加わり、特にピアノ音源では演奏者の指使いまでもが浮かび上がるような、素晴らしい表現力のスピーカーになりました。

低域は70Hzまで伸びていて、コンパクトなサイズながら十分な量感です。

見た目も音質も飽きの来ない、部屋に置きたくなるようなデザインにできたと思います。

(販売時期・価格などについては調整中のため、続報をお待ちください)

そして、お待たせしました。NC9kit再生産の目途がやっと立ちました。

8月末には、オントモショップ様、コイズミ無線様などで再販できると思います。

凹凸が噛み合うことで組み立てやすく空気漏れがなく、素人から玄人の皆さんにお勧めできる製品です。

赤松の温かく粘りのある響きがCHP90Micaの音の傾向とマッチしており、試聴会でも好評を得ていました。

製造できる数には限りがあるため、お求めの際はお早めにお願いいたします。

https://www.koizumi-musen.com/fea/220714_nc9/220714_nc9.php

現在再び新型コロナの感染者数が大拡大しており、今後しばらくイベントの開催が困難になるかもしれません。

試聴会で音をお聞かせすることができないのはとても残念ですが、おうち時間が増えるであろう今後は、

お客様のご家庭でマイカ振動板の音の良さを感じていただけたらと思います。

ご体調には十分お気をつけて、オーディオライフを送っていきましょう。

次回は床置きスピーカーや瓶スピーカーなどDIYの楽しさについて書きたいと思っています。では。


Posted by admin on 7月 20th, 2022 :: Filed under 未分類

NC7 Gen2 販売開始!

NC7v2の開発はNC11の弟分の商品を開発したいと以前から内部で試作を重ねていました。
工場移転もあり少し遅れていたのですが、先ずは写真の試作機を製作し前回(3月)に写真の試作モデルをコイズミ無線でのイベントで公開しました。

NC7v2プロトタイプ

 音出しをしたとたんに『お~、響きが違う。全然ちがう』と試聴会の雰囲気がガラッと変わりました。その雰囲気の変化はある意味GOサインを出すのに最高のシグナルでした。

この試聴モデルはメープルのフロントバッフルに北欧バーチ材でサイドパネルなどを使って製作したものですが、周波数特性も理想的で何とも言えない音の良さがあり私も気に入っていました。

3月の出張で製造を依頼している浅村さんと細部の調整をしてようやく4月末の5ペアずつ10ペア完成してきました。

ウォールナット無垢モデルはウレタン光沢塗装、メープルとのコンビネーションは艶消しウレタン塗装で、随分雰囲気が違います。

松本工場から送られてきたエンクロージャーを開梱してその仕上げの美しさに私は胸を打たれました この美しい天板が感動的です。5枚の無垢材で構成されているのですが、手で触ってもまるで一枚板です。写真で表現できないのが残念です。

このオーバルバスレフは低域の再生品質に大きく貢献していますそれにしても美しい高級家具を彷彿させます。

この美しい処理の一部は松本市の楽器製造工場のCNCが行っています。浅村さんがCNCのCAMの動作指示が無垢材の木目に沿い逆目にならない様に動いていると改めて感心していました。

仕上の美しさだけではありません。先週行われたコイズミ無線のイベントで、参加いただいた皆さんとオーディオ談議をしていると、一人のお客様が丸椅子に座ったまま、『いやぁ~、いい音だった。聴き入ってしまいました。気持ち良かったですよ!』とその場を動こうとしません。

結局、NC7v2_コンビネーションを購入して頂きました(決して押し売りしてませんよ)。

何が嬉しいといって、音を聴いて購入頂く以上の事はありません。本当に有難うございました。


Posted by admin on 5月 21st, 2022 :: Filed under 未分類

入社しました

みなさん、はじめまして。

4月からフィディリティムサウンドに入社しました、スガノと申します。

社長とはStereo誌企画の学生対抗スピーカー甲子園にて出会い、学生時代はアルバイトとして仕事をお手伝いしていました。

様々な縁があって、この春からお世話になることになりました。よろしくお願いいたします。

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入社報告記事だけでは心もとないので、本日アッセンブルしたDuo5 Activeについて少しだけ・・・

ブラックチェリーのバッフルの奥に、ピアノブラックの光沢が輝いています。

Mark Audio には様々な種類のドライバーがありますが、個人的に一番の好みはこのAlpair5v3です。

シングルサスペンションでストレスなく動く振動系を、背面にある47研究所製モノアンプが最短距離でダイレクトに駆動し、弦の擦れる音や、録音会場の静かな残響音まで、繊細に鳴らしてくれます。

Mark Audio のドライバーをお持ちの皆様はお気に入りの高価なアンプをお持ちのことと思いますが、一度このActiveの音を聴いてみてください。据え置きの大型アンプとはまた違った魅力があり、特にAlpair5v3の繊細さを引き出すのにベストなシステムだと思います。

PCの横に置いて音楽を聴くのも良し、寝室で静かにBGMを鳴らすのも良し、広い部屋でも充分な鳴りっぷりです。

Nature Collection NC5Hでも47研究所製モノアンプを搭載可能ですので、そちらと合わせてご検討ください。

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今後は私がメインでこのブログを更新していく予定です。

社長ほど音楽について知識や経験があるわけではありませんが、音響についてはエンジニアの端くれですので多少の知識はあると思います。

これからは社長の音楽に対する知見と、私の科学的な知見から、測定なども交えてMark Audio ドライバーそしてFidelitatem Sound Nature Collection シリーズの良さをお伝えしていく予定ですので、今後とも是非ご覧ください。

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次回の更新は、生まれ変わったNC7について・・・お楽しみに!


Posted by admin on 4月 27th, 2022 :: Filed under 未分類

CHN40 発売開始

Markaudio最小口径CHN40発売開始です。


ホームページを更新しましたので、

詳細はこちらをご覧ください。

大変お待たせしました。CHN40の発売開始です。発売にあたり、資料を整理していると改めてユニットの性能に驚きます。ニアフィールドの原音再生を体感して頂ければ幸いです。


Posted by admin on 2月 6th, 2022 :: Filed under 未分類

Bill Evansの”音”と”原音”

最近はようやくコロナ禍も峠を乗り越えたかに思えすぐに戻れるかはかわからないけれど早くイベントをやりたいと思う今日この頃です。イベントの出展は大変ですがお客様との思わぬやり取りが音楽やオーディオの本質を考えさせられるきっかけになる事があります。このハプニングはある年のAudiobase でのことでした。ビルエバンスのPortrait in Jazzを流していた時、突然あるお客様から『この演奏は何製のピアノですか?』とツッコミがあり、続けて『この時代ではヤマハの訳がないですから、やはりこれはスタインウェイですよね』『でもこの再生音はスタインウェイの音ではないですね!』と。

何だかマークオーディオにいちゃもんを付けられたような状況です。変な雰囲気が漂います…そっと周りの仲間を見回すと一人の目は虚ろでもう一人は下を向いてしまっています。このままではイベントが台無しになってしまいます…相手はクラシック音楽に精通している方に違いなく強敵です。そこで何も反論せずCDを取り替えます。ベートーヴェンのピアノ協奏曲を引っ張り出してしばらく流します。そしておもむろに『如何でしょうか?』と私、返答は『いや、すばらしい!いい音だ!これこそスタインウェイです。』

本音を言えばその時は『やった』と思っているのですが、逆にミキシングの課題を指摘された感もあり、原音再生の基本からみればそのとおりですから、ビルエバンスの音と原音については考えさせられるハプニングでした。

そして時が過ぎ、昨年エバンス好きの友人(お客様でもあります)Mさんから『ビルエバンス没後40年』と言う雑誌をプレゼントされました。この特集にはこの天才ピアニストをそれぞれの寄稿者の側面から本質を鋭くついた内容であり、改めて冒頭の出来事をどう考えればよいかを教えてもらった感がありましたので一部を紹介させて頂きたいと思います。

”ビルエバンスはその時代にあって異端のジャズピアニストだったのではと思う。エバンス以降その影響を大きく受けて彼の様に演奏するピアニストは沢山いるがそのヴォイシング、節回し音色、独特のタイムフィールは彼以前には聴けなかったものだ。どうしてこんな演奏ができるのであろう。(中略)エバンスと全く同じタッチで演奏したとしても、音を出す、そして切るタイミング。フレーズアクセントの付け方やリズムでとても同じ音には聞こえなくなるエバンスのタッチはクリアで澄んでいて鋭くて彼の音楽そのものがたった一つの音でも表現できるような音をしている。(以降ヴォイシングやビートのタイミング等、的を得た説明を加えていますが略します)”      藤井郷子さん(ジャズピアニスト)

また、

”フランスのピアニスト ”ジャンイヴティボテ”のビルエバンスとの対話”と言うアルバムを聴いた時のことだ。(中略)ビルエバンスの演奏をそのまま採譜して譜面化しそれをあたかもラヴェルやドビュッシーが書き記したピアノ作品の様に演奏した作品だ。(中略)エバンスの肉体とは関係ないところで完璧なテクニックとダイナミクスと繊細さを駆使してフランス人ピアニストが再構築しているにすぎない演奏である。エバンスでもなければジャズでもない二十世紀に即興の音楽として成立したジャズとは最も遠い行為だ。だがその演奏を聴いて初めて僕はエバンスが人類の音楽の歴史に残した仕事の価値を理解したように思った。96年の録音なので音はいいし完璧に調律されたスタインウェイの響きは抜群だ。(中略)ジャズ的なピアノの音に仕上げられていないその録音と整音も異化効果を助長している。(以下略)加藤総夫氏

実はこのCDは私も入手し実際に聴いてみました。が、確かにPortrait in Jazzよりずっと良い録音ですが残念ながら音が鳴っているだけで全くハートに届きません。藤井さんでは無いですが、エバンスとスコットラファロの演奏はワンタッチでそれとわかります。Portrait in Jazzのミキシングエンジニアはその時の感動を、そしてその素晴らしさをCDを聴く人達に是非伝えたいという気持ちがこのミキシングになっていったのではと思えます。原音を調整するにはその演奏に対する理解と節度を心得た調整が必要であろうと思います。(このソースは試聴室にありますから来られた方は試聴できます)

Jpopのミキシングはこてこてに塗りたくったお化粧の様にいじくりまくっています。Markaudioのユニットで再生するとその粗さが悲しいくらいすぐにわかりどうしても止めてしまいます。日本にも歌唱力に溢れた才能達はそれなりにいるのにこうやってスポイルしてしまいます。結局オーディオに携わる我々も含めて音楽を支える人たちが民度を蓄えその点で本当のプロにならないといけないのでしょう。もちろん原音に忠実なことは基本ですが、こう言った見地からはビルエバンスとスコットラファロの録音は”スタインウェイの音”で無くてもよいのかもしれないとおもいます。命と血を削りながら演奏するビルエバンスとスコットラファロの演奏をなめてはいけませんよ!。

昔の関連ブログ http://blog.fidelitatem-sound.jp/wp-admin/post.php?post=29&action=edit


Posted by admin on 10月 17th, 2021 :: Filed under 音楽

NC5HでジョーパスのGibsonES175を聴く

此処のところ仕事が忙しくて、音楽を聴くのもおっくうになりそうになる様な心理状態でした。ようやく時間が取れる様になったので、反省をしてやはりちゃんと音を聴かなくてはと、雨の日曜日は限定版のNC5HMahogany をじっくり聴いてみる事にしました。

このスピーカーの音色を皆さんに伝えるにはと言う事で、このマホガニーはギターやベース楽器を製造するメーカーから譲ってもらったものですから、まずはギターソロとデュオを引っ張り出してきて弦楽器にフォーカスしたレポートにしてみました。








先ずは加藤崇之さんの最新ソロアルバムpepetanと言うCD、今まで購入したジャズギターの中でもトップレベルの演奏と録音です。そのNC5Hのから音が出たとたんに驚きました。このスピーカー何と言うか、オーディオ的な音がほとんどせず、アコースティックギターの弦の振動、箱の何とも言えない付帯音の自然感が抜群です。加藤さん円熟味が出てきましたね~。過日あるディーラーさんを訪問した時に、私はこのNC5Hを『このスピーカー楽器の音がしますよ!』と表現したのですが、意味が全く伝わりませんでした…。







これだけギターの音がリアルならと次はPabloレコードのジョーパスとN.H.ペデルセンのLive Duoを久しぶりに引っ張り出して試聴です。ノーマングランツの当時の録音は変な化粧が無いので音の本質を聴くことができます。

この頃のJoe Pass は、ギブソンのES175と言うフルアコを使っていますが、
これも聞いた途端に『アレッ。凄い』と仕事の手を止めて真剣に聞き入ってしまいます。こんなに古い録音なのに175の何と言うか骨太の渋い少し歪ませた音が伝わってきます。各トラックごとにどちらのピックアップを主に使っているかも良くわかります。凄いですね。ペデルセンのベースもバッチリです。太く音程も良く解ります。また、この時のジョーパスの演奏はギターの弦とピックが平行になっておらず時に擦る様な音が混ざって聞こえます。今までは気づきませんでした。

やはりオーディオの素材は常に素材(この場合はアフリカンマホガニー)の共振が起こります。その素材の倍音パターンと強弱比がソースの楽器の倍音に近いと楽器のニュアンスを再生し易いのでしょうね、MDFやラワン合板のスピーカーが当然だった時代(今も殆どの製品はこの時代ですが)には絶対に味わえない音です。これは。


Posted by admin on 8月 15th, 2021 :: Filed under オーディオ一般,ユニット情報,音楽

大変お待たせしました。 7月21日(水)MAOP_5が ようやく日本に到着します。

大変お待たせしました。ようやくMAOP_5が到着し7月21日には入庫になります。

MAOPの処理プロセスは何度か空輸されるため(中国では加工技術がないので)、コロナの影響がおおきく2カ月程製造が遅くなりました。

またマホガニー無垢材のNC5が7ペアウォールナット無垢材を10ペア製造しまたので、ご希望の方はディーラー各社にお問い合わせください。


Posted by admin on 7月 20th, 2021 :: Filed under オーディオ一般,ユニット情報,未分類,近況

マイカコーンCHN50P試聴記

 2カ月程前、2020MOOK表彰式でマークオーディオ賞を受賞された青木氏(以下親しみを込め青木さんと呼ばせて頂きます)に弊社試聴室へご訪問頂き受賞作品を聴きながらのああのこうのオーディオ好きの談議を楽しみました。

実は青木さん理学博士の称号をお持ちで、オーディオ談議と言うよりはスピーカーの位相について資料まで用意されて教えて頂いています。先日はSmith Chartでスピーカーのインピーダンスとアンプの出力インピーダンスの合わせ方など教えて頂いています。

『青木さんところで今日は秘密の試作ユニットがあります。せっかくですから(写真の)作品に付けてみませんか?』と切り出してみましたが、取り付け方が特殊で急には変更できないので、貸出としてご自宅にお持ちいただきました。

それなりのその視聴レポートが届いています。色々な音楽ソースをトライして頂いていて、ユニットの特徴が解り易いのでお願いして公開させて頂きます。是非ご一読ください。

2021年4月11日

         試聴報告

 お貸しいただいている 4cmマイカドライバ・ユニットの試聴をしています。聴きながらのレポートです。

 MarkAudio賞をいただいたエンクロージャー:Traveling Wave 5 (TW5) にマイカユニットを取り付けました。コンテストのレギュレーションユニット:OM-MF4と外径が同一ですから、載せ替えは簡単。OM-MF4がメタリック・グレイなのに対し、Micaは薄ベージュのおとなしい色です。よく見ると、Micaのキラキラがあります。クラシック調で、自分の趣味です。

 音を出します。丁度、FM放送ではトーク番組中でした。人の声がとても自然です。”サ行“が変にシャカシャカすることなく、男声の低音が重たく響くこともありません。まあ、このくらいはMarkAudioなら当たり前、という予想通り。能率はOM-MF4よりは若干高そうです。84-86dBくらいかな。

 次に、音楽を幾つか。クラシックで恐縮。

 先ず、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。五嶋龍のヴァイオリンで聴きます。第1楽章冒頭から弦が綺麗に伸びています。気持ちがいい。独奏ヴァイオリンが入ります。いい音です。とても伸びやかです。音としては、極めて歪みが少ないのでしょう。キーキーすることが全くありません。音が綺麗です。第1楽章後半のカデンツァ。物凄い弱音の高音部分があるんですが、聴いている自分も思わず息を殺してしまうほどの静寂感。実は、この最弱音部は大口径スピーカーが得意とするところですが、4cmユニットがここまでできるとは・・・。この時点でOM-MF4よりMicaが勝っています。 第2楽章は緩徐楽章で弱音です。独奏ヴァイオリンはミュートを付けて演奏します。弦楽器の低音のピチカート、ちゃんと聞こえます。小型スピーカーでは聴き取れないくらいの音になるものが多いのですが、Micaユニットでは、ちゃんと聞こえます。しかもとてもセクシーなんです。ピチカートのセクシーさも大口径スピーカーの専売みたいなものですが、Micaできてます。(OM-MF4もできています。) 第3楽章は華やかなところ。ここではオーケストラがいいですね。各楽器の音もそれぞれ綺麗です。金管が音割れすることも全くなし。曲が終わって深呼吸したくなる満足感です。

 次にバッハのパルティータを聴きます。フィデリティムの視聴室にもあるマリア・ジョアン・ピリスの演奏。ピアノの演奏。この曲は静かな曲で、強打音がありませんが、ピアノのしっとりとした余韻の響きが曲全体で途切れることなく続きます。この響きの優しいこと。最高ですね。ここでも音が綺麗です。OM-MF4よりも高音が伸びている感じです。

 次に、同じくバッハのリコーダソナタを聴きます。リコーダはミカラ・ペトリ。チェンバロはあのキース・ジャレットです。キースの弾くチェンバロ、いいですね。チェンバロの音は高調波がたくさん含まれるのですが、きちんと歪まずに鳴らしています。変にチンチンすることが全くありません。ペトリのリコーダも綺麗。リコーダの音域はユニットの優劣が出にくい音域ですが、ここでは安心して聴けます。何と言ってもリコーダの音でも聴き疲れしません。リコーダの高音って、耳に残ってしまうのですが、Micaではそういう感じがありません。音がとても伸びやかです。

 次はピアノ。鍵盤楽器というより打楽器のピアノの打音には高調波がたくさん含まれるので、ユニットの良し悪しがはっきり出ます。川崎翔子の弾くベートーヴェンのワルトシュタイン・ソナタを聴きます。冒頭の小刻みな連符。ゾクゾクします。低音がよく聴こえます。左手の重い響きの音の厚みがとてもリアルです。もともと川崎さんは左手の音が強靭で、リストなどではとてもドラマチックな音楽を作ります。彼女の音の強さがこのMicaユニットだととてもよくわかります。高音も綺麗です。歪が全くありません。実はこの演奏で使っているピアノは日本に最初にピアノを持ち込んだというクロイツァーのピアノの復刻ピアノです。スタインウェイにはない土臭さがあって趣がある音です。Micaに限らずMark Audioのユニットには*****のような高音のクセがなくて自然な感じがいいです。 ・・・・うん、これ、凄いユニットです!

 では、ということで、ピアノをもう一つ。ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。反田恭平のピアノで。冒頭のゆっくりクレッシェンドする低音。うん、これだ! いい感じです。オーケストラの重めの弦の響きもいいです。いやー。このユニット凄いです。(TW5との相性がいいのかもしれません。) ここまでくると、何か新しいスピーカーの時代の幕開けに自分が立ち会っているような興奮を感じています。  チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番。アレクシス・ワイセンベルクのピアノで。1970年の古い録音です。ワイセンベルクの“ため”が凄い。流石のカラヤンも合わせきれないのですが、微

妙な拍のズレが凄い緊張感を生んでいます。この演奏、オーケストラも加わった強音時にはピアノの音が割れ気味になるのですが、このユニットで聴くと全然違います。某社のユニットだと爆発音のようになってしまう事があるのですが、Micaユニットだと、ピアノの音とオーケストラの音がきちんと聞き分けられます。

 では、声楽はどうか。鮫島有美子の歌う「さとうきび畑」。もともと綺麗な声の歌手ですが、とてもいいです。ビブラート、息づかい、・・・いいですね。声がまろやかです。私はクラシックが好きですが、声楽は殆ど聴きません。ベルカントだかドイツ唱法だかが好きになれません。秋川雅史の「千の風になって」なんて、止めてくれ、と言いたいくらい。でも鮫島由美子の歌はいいですね。ユニット評から脱線しましたが、このユニットは声がとても自然ですね。これもMarkAudioの特長ですね。

 次は長岡鉄男の挙げた優秀録音盤、武満徹「カシオペア」。小澤征爾指揮日本フィル、パーカッションはツトムヤマシタ。パーカッションとオーケストラの曲です。ドラムの音がズンと響かなくちゃ面白くないのですが、Mica頑張っています。流石にこういう曲は大口径に比べる訳にいきませんが、私の6畳の小部屋で聴く分には全く問題ありません。低音もボワボワせず、はっきりした低音、打音です。

 クラシックばかりでは中島さんに伝わらないでしょうから、ジャズを幾つか。

 Claire Martin – Trav’llin’ Light。昨年のコンテストの試聴曲。私にはジャズだと何がどういいかって表現できないのですが、低音がしっかり出ていて、ヴォーカルが綺麗です。

 同じ曲をJacinthaで。彼女の空気のような漂う声がうっとりさせてくれます。トランペット、ベース、ドラム、ピアノ、それぞれがそれぞれの空気を作っている感じがいいです。ユニット評になっていませんね。同じJacinthaのアルバムからMoon River。これもまさに空気のような歌声。語尾のtの音の残り香のようなセクシーさ。いいですね。中間部のピアノの強打音のアタックもしっかり聴かせてくれます。

 HiromiのSpark。冒頭のピアノのさざめくような弱音が綺麗です。途中からドラムが加わって曲調一変、ドラムとピアノの掛け合いでもきちんとそれぞれの音がぶつかりながらも全く崩れていません。

 Bill Evans Trio, Waltz for Debby。ここでも、いいね、ですが、後半のベースのソロ部分では、今まで聞こえなかったような雑音の様な音が入っているのが聞こえます。(特にTake1) このユニット、結構低音まで再生していますよ。低音がたっぷりしています。音の派手さはありません。とても真面目な音です。

 本当に低音が出ているのか? 正弦波形を入れてみると、40Hzを再生しています。びっくり。35Hzも5~10dB近く落ちているように聞こえますが再生できています。ひっくり返っていません。(倍音振動していることもありません。)4cmでこの低音は凄いです。

 最後に John Lewis のバッハ「平均律クラヴィア曲集」を聴きます。全4枚のCDですが、フーガ第8番。(前奏曲とフーカが交互に並ぶこの曲集、前奏曲はJohn Lewisのピアノ独奏による正調演奏、フーガはMJQのJazz演奏です。)ベースの低音が気持ちいいですね。その上をピアノの音が流れていく感じ。BGMに最高。

 もう1曲。最後にオーケストラの大曲。マーラーの交響曲第5番。エリアフ・インバル指揮フランクフルト交響楽団で。冒頭のトランペットの虚無感。第2楽章の嵐のような音のうねり。有名なアダージョ楽章の哀愁。4cmでオーケストラが聴けるなんて。しかもこれだけの表現力。隣に置いているSuper Swanといい勝負です。全体の音のバランスではSuperSwan+Pluvia7HDに軍配が上がりますが、低音の絞まり、高音のキレではTW5+Micaですね。こうなると、デザイン的に悪いSuper Swanを手放してもいいくらいですね。(いやいやSuper Swanは私にとってのリファレンススピーカーなので手放しはしません。)

 すばらしいユニットです。このユニットなら、どんなエンクロージャーでも鳴ってくれそうですね。TW5のようなバックロード(中島さんによるとトランスミッション型ですか?)でなくても、普通のバスレフでもいいでしょうね。インピーダンスによっては 2個使いできそうですね。しかも10倍の値段のユニットと遜色ない音で。

以下省略

青木芳雄


Posted by admin on 7月 17th, 2021 :: Filed under オーディオ一般,ユニット情報,未分類,音楽
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