再着磁のススメ

最近私のオーディオバイオリズムは非常に好調で、音楽を聴くのが大変楽しい状態が続いています。一つが、真空管アンプのトランス総とっかえ、以来そのすばらしさにハマリまくっています。
そしてもう一つの理由が今日のブログです。先日ついに、写真の古女房が帰ってきました・・・・・⇒これです。

話は変わりますが、みなさんはどんなに愛した女性でも、何年もの間にその魅力がだんだん当然のものになって・・・・空気の様な存在になって・・・最後は他の女性の刺激が魅力的にふらふら~と・・・・なんて思いをしたことはありませんか? 皆さん胸に手を当てわすれかけて(欠けて?)いた過去の失敗を思い出してください。思い当たる方はいらっしゃいますか?!

今回の私の古女房はこれです⇒日本が生んだ世紀のツィーターテクにクスEAS10TH1000です。
 

そして←この機械、谷口さんの工場を訪れた時の写真です。
これなんだかしっていますか?これがスピーカーに魂を入れる機械 Magnetizer(着磁装置)です。フェライト、アルニコ、ネオジュームと全部そろっていました。写真はネオ用です。

む!また悪いことがひらめいた!これは良いぞ!ちょっとお願いして見よう!・・・・ねえ谷口さん(小さい声で・・)ほら、前試聴に私のオーディオルームに来たときに、あったあのツィーター・・・あれ・・・リーフツィーター覚えてます?あれ再着磁してもらうってお願いできません?
軽く、『あ!調べてみますよ。物によっては分解しないとできないから・・・』
早速工場にこのマグネットのお化けを持っていきました。

これ谷口さんから送られて来たリーフツィーターの断面図ですなんだか人間の脳みそのMRIの写真みたいですね、

それにしてもダイア不ラム、ボイスコイルとホールピース・マグネットの大きさのアンバランスさがもの凄いですねぇ。
Alpairのシャシーがコーン径に比べて大きいと言っている方、このシャシーの大きさと厚さを見て下さい。そして吸音材とそのシェイプを見て下さい。全く共振しないシャシーに高ダンピングファクターの吸音材とが見事にマグネットが流線型になっているではありませんか。 これを35年前に作っていた日本の実力はどれほど凄かったんでしょうね。

当時貧乏大学生だった私は、秋葉原(確か旧木村無線の入っていたラジオ会館ビルの3階だったか?)で片ちゃんだけつないで鳴らしてもらったのが始めての出会いです。そのシンバルの音のリアリティーに驚き、しばらくそこを動けなかった(かなかった)のがこのツィーターへの一目ぼれのはじまりです。

ずっと恋焦がれていたのですが、なにしろ、当時50万あれば、HondaS600が買えた時代の13万6千円です。下宿代2万円の学生に買える訳がないですよね。

それでも忘れれずに、1995年頃にはDynamic Audioさんのトレードセンターに『中古が出たら連絡もらえませんか』とお願いしたり、手を尽くしましたがとうとう連絡はありませんでした。 
まあ最初から、『アレはね、お客さん、バインディングポストの締め具合でも音が変わるんだよ! そんなツィーターだからみんな手放さない、最近は松下さんが測定用に買い戻してるってうわさだよ。でもよっぽど間違ったら中古市場に出てくるかも』っていわれてましたから、半ばあきらめていました。

が、しかし時代は変わり、ネットオークションと言う、日本全国の出物を瞬時チェックできる時代になり、とうとう30年後にこの写真の初恋の相手(年とともにちょっと肌があれていましたが)を手に入れたのです。凄い執念(シツこさ)ですよね。

そんな恋女房も最近はAlpairシリーズの音質がよくなってしまいあまりきかなくなっていました。

そして先月末、その工場に打ち合わせに行った帰りに着磁がおわった古女房を久ぶりに引き取ってきました。


その再生周波数特性です。マイクが40,000Hzまでしか保障していないので途中でカットしてありますが、LMSの生データです。凄い特性ですよね!

 

色違いは着磁のビフォー/アフターの特性の違いです。
なんだか、ほんのちょっとしか違わないな・・・・なんていってる人は人間の耳の感性を信じれない人!

なんと、35年前の秋葉原で聞いた音が再現されているではないですか。本当に感激です。もう、バイオリズムは上がりっぱなし。
もし皆さんのなかでこのツィーターをお持ちなら、少々の出費をしても、再着磁をされることをお勧めします。谷口さんの所でやってくれるかも。 

と言うことで、また、Markを呼んで今日も一緒に聞きなれた私のCDコレクションをこのリーフとAlpair10のツイントールボーイで聞いています。以下やり取りです。

Mark 『本当にいい音だ。なんてスムーズなんだろう。 これこそがHi-Fidelityだ!』(蛇足ですが、当社のFidelitatemはそのラテン語です・・・)
    『日本には、Hidden Treasure (隠れた宝)がまだいっぱいあるんだよね。海外に輸出される製品よりずっと高品質のこういう製品がいっぱいあるんだよね。』

わたし、『オーディオ界で言えば、もうuse to be in Japan と言うのが正解だよ。』
Mark 『Well,・・・』

『これは本当に理にかなったすばらしいツィーターだ』(その辺の封筒に周波数特性を書き出し、)
ここでMRIを見せると、
『このリニアリティーこそ、to be as close to the original source sound as possible (原音忠実再生)そのものだ』ハチマルさん、本人が其の侭の同じことを言ってますよ、かれのストラテジーを!Alpairシリーズの音は本当に高品位と思います。こんなに音楽を聴いていられるスピーカーは中々現代にはありません。
でも私のEAS10TH1000(名前に色気が無いなぁ)への気持ちはかわりません。30年の恋なんですから。(今となっては本当に買ってよかったと思います。)
谷口さん有難うございました。 開発中の新しいツィーター良い製品にしましょうね!

限定生産(世界で100台) Alpair10 MAOP

Alair10v2 MAOP ….. なんやそれ・・・・私もなかなか憶えれません。 これ実は、

Micro-Arc Oxidation Process (MAOP)…..Alpair10の限定生産品のこの白いコーンの表面処理の名称です。
実は、真空管ショウでちょっとだけ皆さんに聞いて頂きました。
Mark Fenlonは ”crystal oxide’と表現していますが、実は非常に強い電圧(700v)をかけたアルカリ電解槽の溶液中で、長時間かけて、アルミマグネシュームのコーンの表面を酸化させながら結晶を作成するプロセスの事を意味します。  

この結晶の作成工程は従来の陽極酸化処理にくらべ、より高い電圧で長時間かけて処理がおこなわれます(時間と手間がかかるって事です)。  

このトリートメント処理の利点は、柔軟(曲げやすい)と(多くの穴が開いている)で超軽量の表面処理で、Alpair10コーンで、質量増加は、対コア材料質量増加比率が0.4%未満と言う非常に軽いコーンを実現しました。 

    

     Crystal Oxidideの表面

  この結晶化された表面は、マイクロスコープで見るとスポンジの表面のように見える小さな空気の穴が、無数に見えますが、この空気の穴が、柔軟で軽く、ダンピングファクターの高いメタルコーン(今までにこの様なメタルコーンはありません)を実現している理由です。  

このMAOPプロセスを実は5回行いますがその最初の3つの層がこの処理のくり返しです、大変長い時間を使って平均20ミクロンの厚さの右の写真の様な層を3レイヤー水槽で塗膜していきます。  

良くウィスキーの樽に使われたオーク材を使ったエンクロージャーは音が良いといわれますが、この樽は長年のウィスキーの熟成過程でウィスキーの浸透・蒸散の力により、木の細胞の間に小さな空気の穴が無数にあることが理由と言われています。  

このMAOPの効果について特にメタルコーンの場合について言えば、コーンの表面に沿って通過する10%以上と言われるの音の共鳴振動の処理が非常に重要で、これをダンプするために、Markaudioのドライバーのシャシーは全て複合ポリマーを使用する事で高ダンピングファクターを実現しています。この処理を、例えばアルミダイキャストやプレスメタルで代用すると、強烈なピークディップを殺すのは非常に難しくなります。

MAOP処理後のコーンでは、この表面を通過するマイクロレゾナンスパターンを上の写真の様に表面表面に無数に出来上がった空気の層でで回折吸収してしまおうと言うわけです。  このユニットに対しては世界初のエポックメーキングな表面加工により、非常に平坦な周波数特性を実現する事が可能となりました。 

工程が時間がかかるために、このAlpair10MAOPは限定の商品としてのみ販売致します。 アッセンブル工程も日本人とMark自身の手でハンドメードで組み上げ、個々のユニットの裸特性を取りながら、ペアを選べる様に特性データを同梱する予定にしています。

販売時期については来春を予定しております。現在そのMAO処理工程ですので今しばらく楽しみにお待ち下さい。