Miles はいやなやつ

 自分の若い頃の音楽との付き合いは、結構背伸びをして、ジミヘンが好きだの、ジミーページだの本当は良いとは思ってもいないのに無理することから始まったというのが正直のところです。この背伸びが突然本当に好きになり、本質に近づいていく訳ですから、若い頃の背伸びは麻疹みたいなもので必要なのかも知れませんね。

 

Groovy Jazzを好きになる本当のきっかけとなったのがこの、Red Garland の『Groovy』と言うモノラル録音のピアノトリオのアルバムです。大体Jazzのお勉強はブルースから入りますから、この先頭の C Jam Bluesと言うのが弾き方がコロコロしていて、弾んでいて、Paul Chambersとのからみがとっても魅力てきでした。

 何だか録音時間が少ないんじゃないの?って思うぐらい気分よく弾いています。 コロコロと右手一本でも十分聴かせちゃう感じです。

 

 

 

My funnyそしてもうひとつのJazzへのBreak throughとしてのアルバムがこの『My Funny Valentine』 と言うMiles Davis のライブアルバムです。

60年中期に発売されたMilesの黄金期のものです、 このときのメンバーは、愛するRon Carter, 愛する Herbie Hancock, 愛するAnthony Williams(死んでしまいましたね) そしてGeorge Colemanというメンバーです。非常に洗練された緊張感あふれる演奏がずっと続きます。

ちょうど写真をコピーしようとamazonのサイトをあけたところ、どなたかの評価があり、この中でGeorge Colemanが唯一の不満と書かれている方がいらっしゃいました。私はこの人が参加しているためにこの名演奏が実現したと半ば確信しています。思うに多分このコンサートにWayne shoterが参加していたら、絶対この全体の雰囲気ノリはなかったと思っています。野球もサッカーもそうですが、スター揃いは何かぎすぎすしてしまいます。Milesから絶対に強烈な無言のプレシャーがみんなにかかっていて、Colemanだけは天然でちょっと感じ切っていないんですよね。

ところで、このアルバムこのジャケット見てください。怖い顔してるでしょMiles って。 声かけにくいタイプですよね。 

余談ですがMilesはこのコールマンをいじめまくった様です。演奏しているとき背中からへぼ呼ばわりしていたはずです。でもメロディーが優しく包み込む雰囲気はMilesは逆立ちしても出来ないのに、嫌なやつですよね!まあいじめられると言う事実についてはコルトレーンも相当後ろでささやかれた様ですから、凄い事かもしれません。

私はこのアルバム、レコードを2枚、CDを1枚持っていて、一体何回聴いたんでしょうか?レコードはかなり痛めつけました。多分ジャズアルバムの中で一番聴いたアルバムです。特に2曲目のAll of youと言う曲のHancockの演奏が強烈で、超難度でありながら、美しく、ノリまくっている彼の一生で最高のアドリブと思います。次のStella by Starlight星影のステラと言う曲で観客の人が我慢できなくなって『ウオぉー』と絶叫します、これ絶対前の曲(All of you) で既にエクスタシーに達しているんですよ。この絶叫を聞くだけでも価値があります。

繰り返しになりますが、Milesの存在がこの締まった世界を作っていますから、だからJazz界の帝王的存在なのだと思います。

Hancockのリーダーアルバムである『処女航海』とか『Speak lile a child』とかはこのアルバムの色とは随分ちがいます。両方聴くとMilesの色とはという答えがでてきます。楽しくウキウキしてくるジャズも良いですが、こうした『The Cool Miles 』 の世界にも溺れてみてください。

ふ~。マイルスの事は書いてても疲れる。と言うわけで、大好きですが屁理屈になるといけないので、 次回からは、ピアノの世界に舵を切ってみようと思います。Milesさんさようなら。

おまけ:

まだ日本で発売する前、Alpair5,6を自宅でMy Funnyを聴いていると、このペットの音とシンバルの音がちゃんと金属らしい音がし、濃い厚いペットのブローが聞けて、これはやっぱし良いユニットだと確信した事を思い出します。幾ら周波数特性がよくても何だかシンバルなしドラムのような音がするスピーカーはちょっとどうかと思っています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です