Markaudio次期モデルの設計
8月の終わりに東莞(トンガン)と言う中国南部にある町の工場にMark(Mark Fenlon というMarkaudioのオーナー)に連れられて尋ねたときの写真です。
新しいAlpair7,Alpair12用に新しく採用するダンパーのテストが主目的でしたが、そこで20数年日本の某有名スピーカーメーカーの設計をやられていた松原さんと言う方と知り合いになる事ができました。
日本の貴重なノウハウをいっぱい抱えた方です。 私も仕事柄何度も広州市、東莞市、深圳市などに出かけますが、日本から消えてしまった物づくりの現場はこの辺りに沢山移ってきておりそこにはこうした方が結構いらっしゃいます。 思い直してみれば、マレーシアに流れた古き良きOnkyoさん、豊科にあったSony さんのEsplit、Technics さんの脅威の技術力。 ビクターさん、東芝Aurex(だったかな?)、トリオさん・・・・ 今思えば世界一の物凄い製造・設計能力だったのですね。十数年前までの日本は。
写真はMarkと松原さんが次期モデルのコイルの設計を打ち合わせている光景ですが、通訳していても、泉のように色々な設計の話が湯水のごとく出てきて、とてもおもしろい半日でした。これからはMarkとのコイルの共同設計とか色々と仕事の話をしています楽しみにしていて下さい。
新設計のダンパーについては松原さん曰く、『マークさんの要求は普通着目しない内容ですね。ダンパーの改善でこうしたストロークに対する効果は色々あるうちの10%ぐらいですから・・・でもだからやりがいがあるんですよ』といって嬉しそうに語っていました。結局もう1度ダンパーを設計しなおして販売となっています。確かに、私はAlpairシリーズとはずっと付き合っていますが、Alpair 7に30W位パワーを入れて(20Wがカタログ値ですから・・・お忘れなく)激しくコーンを動かすとマークオーディオの特長であるロングストロークに驚きますが、ぴたっと戻ってきます。縦に柔らかく横にぶれないと言うことが実感でき、音楽性の高い繊細で正確な低音を聞く事が出来ます。
工場から帰宅する時に松原さんが語っていた『日本人にノウハウを伝えられないのが本当に残念』といってたのが心に焼き付いています。私も若い人をサポートして当時の日本の力は遠く及ばなくても・・・・なんとか支援できればと思っています。
この写真はその日に工場で撮ったAlpair7の試作モデル(旧)です。ダンパーが量産モデルと異なっています。比べてみてください。